元創元社編集者で、現在はフリーの編集者である高橋輝次さんは、古本や出版に関する多数の著書、編書がある。最新の著書は『関西古本探検』(2006年、右文書院、定価2300円+税)。高橋さんは神戸育ち。大阪外国語大を卒業後、大阪の出版社である創元社に勤務した。今般の著書は、高橋さんにとって地元関西の古本に関するエッセイ集である。
『関西古本探検』のページをめくっていくと神戸大学ゆかりの出版社や人物が出てきて興味を惹く。ユニークな出版物を刊行した出版社「ぐろりあ・そさえて」については、2度(26ページ、234ページ)にわたって記述がある。この「ぐろりあ・そさえて」の創業者である伊藤長蔵社長は、神戸大学の前身の神戸高商の卒業生(1910年)。
阪急六甲からJR六甲道に行く途中に最近開店した古書店口笛文庫(本書では口笛書房と誤記)の名がチラリと出てくる。この店の経営者尾内純さんは、国際文化学部の卒業生(1999年)だ。190ページ以下には、60年安保闘争に参加したといわれる国語教師浅田修一さん(1963年文卒)の著作『神戸わたしの映画館』(1985年、冬鵲房)を今年になって古書店出見つけた、元神戸大教授の橘忠衛、御影師範教諭だった詩人の八木重吉の話等々。
そのほか三宮センター街の後藤書店、JR六甲道に近い宇仁菅書店。また、かつての学生街で神戸高商や関西学院があった上筒井の近辺にあった博行堂やエスペロ書店(店主がエスペラントを勧めた)等戦前の神戸の古本屋の話題も出てくる。なお、高橋さんが永年勤務した創元社の第2代社長の矢部良策さんは神戸大学の前身神戸経済大学の卒業生(1949年)である。 |