早川勇(愛知大学教授)編纂『日本の英語辞書と編纂者』(2006年、春風社、定価6930円)に、神戸高商時代の英語教育者4人が登場している。以下は、その概要。
○岡田実麿(おかだ・じつまろ)1878(明11)―1943(昭18)
広島県上下町に生まれる。明治30年に慶応義塾を卒業し渡米、帰国後は神戸高商(神戸大学)の英語教授となる。同40年に夏目漱石の後任として第一高等学校の教授となったが、まもなく明治大学に移る。同僚の山崎寿春に誘われ、東京高等受験講習会(駿台予備校)で昭和14年まで英語を教えた。『最新英文解釈の基礎』(大14)『英語熟語要訣』(大15)『一、二年生の基礎英作文』(昭和14)など受験生や学生用の教科書をつくった。
【当HPからのコメント】岡田実麿教授の妹は田山花袋の『蒲団』の女子学生のモデル岡田美知代。岡田美知代は、神戸女学院に学び後に上京して花袋の“内弟子”となる。中年男が女子学生に思いをよせる。そんな内容の小説『蒲団』は、センセーショナルな反響を引き起こした。
○滝谷善一(たきたに・ぜんいち)1883(明16)-1947(昭22)大阪府の出身。明治41年、東京高商(一橋大学)専攻部を卒業し、同43年に神戸高商(神戸大学)教授に任命。保険学や商業政策を教授した。大正2年に欧米に留学。昭和4年には大学昇格に伴い神戸商業大学教授となる。武田英一と共編『最新 英和商業辞典』(大3)『火災保険料率協定の効果』(昭6)『戦時貿易政策の動向』(昭15)などの著作がある。
○竹原常太(たけはら・つねた)1879(明12)-1947(昭22)
岡山県士族の家に生まれる。明治31年に神戸市立乾行義塾普通科第4学年を修了、神戸旧居留地の貿易商館に勤務し、和文英訳の仕事に携わる。しかし、和英辞典を頼りにして書いた英文がことごとく支配人に抹消されたことに衝撃を受け、翌年アメリカへ渡る。イリノイ州グリヤーカレッジ師範科を卒業し、同38年に帰国した。その後、私立正則中学校英語科教員をかわきりに英語教師の生活がはじまる。同43年再び渡米し、大正4年にはニューヨーク大学大学院英文科を修了しPh.D.の学位を取得、大正5年に帰国した。神戸高商(神戸大学)で退官まで英語を教えた。『英語慣用句詳解』(明39)『語学教育の合理化』(昭5)『中等学校英語教材の科学的編纂法』(昭11)など特色ある著作を残す。
○山口造酒(やまぐち・みき)1865(元治2)-1932(昭7)
現在の長野県上伊那郡に生まれる。明治8年に上京し漢学を修め、同13年東京外国語学校に入学しドイツ語を学ぶ。同17年、英語を学ぶために渡米した。同24年に帰国し東北学院教授となり、さらに陸軍大学教授となった。その後、学習院教授、神戸高商(神戸大学)教授などを歴任した。また、乃木将軍のもとで通訳などの仕事も行った。外国語に堪能だったので、『新編独逸語独習』(明31)『新編仏蘭西語独習』(明33)『英文和訳教本』(大14)などの参考書を多く執筆した。
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