石川啄木『呼子と口笛』
『呼子と口笛』所収の詩に「激論」という作品がある。この詩に出てくる“若き経済学者N”は、函館出身の経済学者丸谷喜市がモデルとされている。丸谷は函館商業から神戸高商(現神戸大学)に進む。更に、東京高商専攻部(現一橋大学)に進学、学者の道を歩む。東京高商専攻部在学の時代に、啄木との交遊は深まり「激論」は生まれた。
丸谷は、東京高商専攻部卒業後、長崎高商(現長崎大学)講師を経て母校の神戸高商教授に迎えられた。1939年神戸商業大学(神戸高商が1929年に大学に昇格)教授、その後神戸商業大学学長をつとめた。
なお、啄木と丸谷教授の交友のみをテーマとした著作『晩年の石川啄木』という研究書が2種類出ている。著者名は違うが、両者の著者は同一人物である。

獅子文六『食味歳時記』
この作品はグルメエッセイ。神戸高商の初代校長水島銕也先生は、獅子文六の父の従兄弟に当たる。獅子文六は、『食味歳時記』のなかで、少年の頃神戸に旅行して水島宅に宿泊した思い出を語っている。なお、同じテーマは自伝小説『父の乳』でも扱われている。

石原慎太郎『挑戦』
戦後まもなく、出光興産がイランから石油を買い付けた。この”事件”がモチーフとして織り込まれている。出光興産やその創業社長である出光佐三(明治42年神戸高商卒)の国際石油資本に対する“挑戦”が、生き生きと描かれている。石原慎太郎(現都知事)27歳の作品。
【読書ガイド】
大岡信編『石川啄木詩集』(1993年、岩波文庫)
宮守計『晩年の石川啄木ー丸谷喜市との交遊と思想をめぐって』(1982年、冬樹社)
七宮涬三『晩年の石川啄木ー丸谷喜市との交遊と思想をめぐって』(1987年、第三文明社)
獅子文六『食味歳時記』(1997年、中公文庫)
獅子文六『食味歳時記』(1979年、文春文庫)
獅子文六『父の乳』(1971年、新潮文庫)
石原慎太郎『挑戦』(1980年、新潮文庫)
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