小谷允志さん(昭34法)の著書『今、なぜ記録管理なのか=記録管理のパラダイムシフト―コンプライアンスと説明責任のために 』が、日外アソシエーツから刊行された。定価は3500円+税。
著者の小谷允志(こたに・まさし)さんは、(株)リコー勤務を経て、現在は日本レコードマネジメント(株)レコードマネジメント研究所所長の職にある。かたわら記録管理学会会長、ARMA(国際記録管理者協会)東京支部理事をつとめる。著書に『情報公開制度の新たな展望』(共著)((財)行政管理研究センター、2000年)、『文書管理と情報技術』(共著)(日本経営協会 2007年)等がある。
記録管理の後進国であった日本。しかし、その環境は大きく変わりつつある。この2月、「公文書管理の在り方等に関する有識者会議」を設置、7月には同会議の中間報告が首相に提出された。10月には最終報告書が出され、更にこれを基にした公文書管理法(仮称)案の提出が予定されている。ただし、多くの課題も存在する。公文書管理担当機関の具体的な体制・権限をどうするのか、レコードマネジャー・アーキビストといった専門職の育成、電子文書化の問題への取り組み等々である。
最大の問題は、予想される霞が関官僚の抵抗。この硬い壁を打破し、公文書管理法(仮称)案で示された理念や方向性がどこまで法制化され、施行段階で実行に移されるか。これが課題である。中間報告には、小谷さんが長年主張してきた「文書管理の目的は説明責任にあること」、「現用と非現用文書の一元的な管理」、「レコードマネジャーの専門職体制の確立」などの基本的な考え方が盛り込まれた。小谷さんは、このタイミングを捉え、本書を世に送り出した。
国の文書管理改革が進めば、自治体そして民間企業へと伝播が期待できる。そうなれば日本の文書・記録管理が国際的なレベルに一歩近づくことになろう。これが小谷さん展望である。終身雇用制の崩壊、非正規社員の増加等により、組織に対する忠誠心が失われてきた。一方、団塊の世代の退職等により、組織から高度な技術やノウハウが失われるという危機に直面している。
今までは教育レベルが高い優秀な社員によって支えられ、何とかなってきた企業内文書管理。近い将来、行き詰まるのは目に見えている。国の公文書管理改革に倣い、民間においても真剣な改革を行わなければならない。さもなくば、重要な文書・記録が全く残らないという事態になりかねない。ぜひ国の取り組みを参考にして、本格的な文書・記録管理の仕組みを構築して行かねばならない。これが小谷さんの強い思いである。

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