広島経済大学池田信寛教授(1989年営後修了)によるユニークなマーケティングテキスト『Why(なぜ)を考える!マーケティングの智恵』が、中央経済社から刊行された。定価は、2600円+税。
著者は、本書の「まえがき」で、フランスのグランゼコールに留学した当時のことを回想する。グランゼコールというのはアメリカでいうビジネス・スクールに当たる。そこで、著者はショックを受けた。著者がマーケティングの話をしていると、同級生はしきりに「例えば”Par exemple?"」と聞いてくる。困ったことに、著者はその質問にちゃんと答えられることがなかった。そこで気が付いたのです。「これが机上の空論というものか」と。本書は、そのような体験を踏まえ、マーケティングに関して極めて具体的に解説されたテキストである。目次を見てみよう。全体は、次の3つの部分から構成される。
第Ⅰ部 マーケケィングの現場では何が起こっているのか
第Ⅱ部 マーケティング・ミックスを使いこなす
第Ⅲ部 より実践的なマーケティングの理解のために
第Ⅱ部第2章では、「買い手の立場で考えるマーケティング」として、次のようなテーマが取り上げられている。
・パートタイマーの視点を活かすヤオコー
・クレームに学ぶ花王の商品開発
・前川製作所の分社化
ここでは詳しく述べないが、何れも具体的でリアルなテーマをマーケティングの視点から分析している。
我々にとって身近な喫茶店。とりわけドトールコーヒーの登場に始まるマーケットの変化や多様性について分析した74ページ以下が興味を惹く。また、別なページで、著者は「なぜ消費者はハーゲンダッツのアイスクリームを買うのでしょうか」との問いを投げかける。ハーゲンダッツのアイスクリームは273円~336円(メーカー希望小売価格)もする。しかも、ハーゲンダッツは、多くの消費者にとって身近なコンビにやスーパーで売られている。「ハーゲンダッツの価格は少々高いのではないか」という疑問が生じるかもしれない。それでもハーゲンダッツが売れる理由のヒント。それは、「カフェやレストランで食べるアイスクリームよりは価格は高くはないけれども、スーパーやコンビニで買うには少し高いということにある」と著者は説明する。
著者の池田信寛(いけだ・のぶひろ)教授は、1960年の生まれ。神戸大学経営学部卒業。同大学院経営学研究科博士課程商学専攻単位取得満期退学。1986年から1988年まで、および、1998年から1999年までの2度に亘りパリ高等商業大学に交換留学生および客員研究員として留学。現在は、広島経済大学経済学部教授。専攻はマーケティング論。

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